拙作「フレミングの法則」とウクライナ紛争の類似点

小説家になろうで公開している拙作「フレミングの法則 ~ 踊る赤髪の落ちこぼれ撃墜王~」の、その状況推移が現実のそれに意外なほどに近似している、と改めて思う今日この頃である。

 

レミングの法則 
~ 踊る赤髪の落ちこぼれ撃墜王 Dancing Maroon of the Scheduled Ace ~

https://ncode.syosetu.com/n6406hf/

 

そして恐らくは多くの日本人と同様に、一体どうすればこの戦争を終わらせることができるのか、と筆者も開戦以来ずっと考えている。しかしながら、TVで有識者達の宣う「こんなことは許されない」とか「巻き込まれる民間人が」等のコメントは、正直に言えば、いくらそんな言を挙げても意味が無い、とも思っている。

 

何故なら、戦争は政治(外交)の延長に過ぎず、戦争を終わらせることができるのは、外交(交渉)以外に無いのは明白なのだから。互いに相手を批難するだけでは、いつまで経ってもこの戦争を終わらせることはできないであろう。別にプーチン大統領の言い分に同意する訳ではないが、もっと相手の要求をきちんと理解した上で交渉のテーブルにつくべきだ、とは思う(終わらない方が視聴率が……等という野暮な突っ込みは、今は辞めておこう)。交渉とは、そういうものである。


緒戦は奇襲攻撃
現実:ロシアはウクライナに、巡航ミサイルを含む「特別軍事作戦」を発動
小説:パラティアはバーラタに、巡航ミサイルによる奇襲攻撃を敢行

 

攻撃側による開戦の理由
現実:ウクライナNATOとの接近を嫌気
小説:バーラタのリベラリオンとの軍事同盟を嫌気

 

攻撃側の要求
現実:ウクライナ武装解除、中立化
小説:バーラタのリベラリオンとの軍事同盟破棄

 

同盟国(友好国)の対応
現実:米国は直接関与を避ける
小説:リベラリオンはバーラタから駐留軍を撤退

 

停戦交渉
現実:開戦から約1週間後に開催(3/16現在、4回目の交渉中)
小説:開戦から4日後、1週間の休戦協定を締結(休戦期間終了後、戦闘再開)

 

進軍目標
現実:ウクライナ全土
小説:バーラタ全土

 

核抑止
現実:ロシア大統領は核に言及することでNATOの参戦を抑止
小説:バーラタ最高戦争指導会議は核に言及することでパラティアの核使用を抑止

 

防御側の基本戦略
現実:戦術的勝利を重ねた上で、有利な停戦条件を引き出す
小説:一戦して戦術的勝利を得た上で、有利な停戦条件を引き出す

 

無論、双方に相違点も多いのである。実は、西側諸国の一員として生きてきた筆者には、今回のロシアの作戦推移がプアに見えて仕方がない。我が同盟国であれば、もっと多量の巡航ミサイルと徹底的な空爆の繰り返しにより、今頃はとっくに制空権を握っていたことであろう。これが海洋国家米国と大陸国家ロシアの戦闘ドクトリンの差なのか、と慨嘆せずにはいられない。そして正直に言えば「ウクライナでおきている現実と筆者の想像する小説世界の推移が異なるのは、筆者が米国の戦争に慣れ過ぎたからである」として自分の想像力の欠如を慰めているところである。


地上軍
現実:ロシア軍戦車部隊が進撃し、地上戦が勃発
小説:両軍とも航空戦力のみが戦闘に参加し、地上部隊の参戦はなし

 

攻撃対象
現実:首都を含む市街地(占拠、支配)
小説:空軍基地に限定(制圧、無力化)

 

近接戦闘
現実:小銃発砲等の近接戦闘を含む
小説:視認距離外からの長距離ミサイル攻撃が中心


さて、現実のウクライナ紛争がどのように集結するのか、それは筆者の想像の及ぶところではない。互いの主張は今のところ平行線の模様であるが、つまりそれは、どちらかが妥協(自らの主張を放棄)しない限り交渉が妥結することは無いことを意味している。そして残念ながらそれは、今のところは双方の指導者の容れるところには無いようである。

 

一方で筆者の小説世界では、グレートエイトアイルズという第三者を入れることで妥結の可能性を提供した。すなわち、二者間では互いに直線的なゼロサムの状況にある交渉条件を、第三者を交えることで三角形に変形し、結果として相互に利のある形で終戦を迎えることができた。

 

その国制が民主主義であれ専制主義であれ、終戦協定にサインする指導者には国民に対する説明責任というものがあろう。民主主義の場合には民衆のため、専制主義の場合には専制君主のために、という違いがあるだけだ。その説明責任とはすなわち「自国の利を勝ち取った」という大義名分である。自国民に対して正当な理由をつけることができれば、指導者は互いに兵を収めることができるであろう。換言すれば終戦交渉とは、相手の指導者にその理由を与えてやることである。

 

終戦協定
小説:バーラタ-パラティア間の相互不可侵条約締結と、グレートエイトアイルズを含む三国間経済同盟の締結


願わくば我が日本政府には、真の意味において世界の平和に貢献して欲しいものである。

 

しかしながら相変わらずイミフなのは、巷間「ウクライナ」が絶対正義として理解されていることだ。

何故ウクライナ難民は受け容れられるのに、シリア難民は受け容れられないのか?
何故、ウクライナの子供のための募金は活発で、ロヒンギャの子供のための募金は忘れ去られているのか?
何故、NATOコソボには介入してウクライナには介入しないのか?

 

正直、大統領(指導者)の演技の差、しか筆者にはその差が思いつかないのであった。