アベノミクスの功罪

筆者はもともと円安反対派なので、アベノミクスは当初から賛成しかねていたのではあるが、神ならぬ人の身が経済政策を実行する以上、過誤があることも承知しているし、その時々で、特に民主主義社会においては世論の動向如何により、様々な政策が採られ得ることは致し方のないことである、とも理解している。

 

その意味においてアベノミクスの最大の罪は、日銀プロパーの日銀総裁就任の機会を将来的に奪ってしまう可能性を作ったこと?などと最近では思っている。

 

直接的ではない、等の建前はともかくとして、実質的には日銀が財政ファイナンスを行っている現状にあっては、最早出口を見つけるのはさぞ困難であろうし、仮に出口を求めたとしても、数十年という長期スパンでのことになろうと想像する。そしてその間、日銀プロパーの職員を総裁の座につけるのは、市場のリスク要因になると判断される(結果、日銀総裁のポストを財務省が独占する)可能性が高くなるのではないか、というのが上の理由。

 

そのインパクトは、日銀プロパーのモラル低下。そして何より、政策の自由度の低減。日銀総裁財務省出身者でなければならない、なんて縛りは、例え内規や暗黙的了解であっても、存在して欲しくない。

 

財政破綻とかハイパーインフレとか、起こるという識者と怒らないという識者がいて、過去に事例を求められないのであれば、どちらもある一定の確からしさを持っているように思えるけれども、それは当たるも八卦の法則が支配する世界のようにも思える。個人的にはMMTはあり得ると思っているのではあるが。

 

あぁ、本当は「三本の矢」という名前が悪かったのかも...「三本の矢」とは「三本揃わないと折れる」という意味なのであるから。