老害

バイデン大統領が、製薬会社にワクチンの特許を放棄するよう求めている由。

 

これを老害と言わずして何を言うのだろうか。

 

確かに、短期的にはCOVID-19から世界を救うことになるのかもしれない。しかし、5年後、10年後に人類が出会う次のパンデミックの場合は如何に?折角莫大なコストを掛けて開発しても、その特許(先行者利益)を放棄させられてしまうのである。あるいは、コストを掛けて投資しなくても、いずれパンデミックの最中に(<ここ重要)後発者製造者利益を得ることが適うのである。そういう前例が作られた後で、一体誰が自分のリスク(コスト)テイクで新ワクチンの開発を試みようとするのであろうか。

 

思うに老害とは、高齢者の「古臭い蘊蓄」だの「過去の武勇伝」だのを指すのではない。老害とは、その時間軸の短さを言うのだ、と筆者は考える。一般的に老人にとって未来は短いが、その短い時間軸で判断しようとする姿勢こそが老害を産むのであろう。長い時間軸を持つ若者から煙たがれる所以である。

 

尤も、国家百年の計とは言うものの、そのような時間軸に沿って想像の翼をはためかせることはなかなかに困難なことではある。せめて、そういうものである、との認識だけは残しておきたいと思う(<<老後の自分)。