病は気から?

ちょっと気になったので、調べてみた。

 REUTERS COVID-19 TRACKER 米国

 

米国における2021年4月30日の新規感染者数と死亡者数はそれぞれ58,900人と770人であった。REUTERSによれば、これはピークであった2021年1月8日の19%である由。一見、ワクチンの効果が絶大であるかのように見える。実際、米国でのワクチン接種率は2億4千万回を超えている(出展:日本経済新聞 チャートで見るコロナワクチン)。

 

TVニュースで見る彼の地の雰囲気は日本のそれに比べるとあまりに陽気であり、ワクチン接種率の向上が人々に安心をもたらしているかのようであり、報道でもそのような解説が行われている。

 

恐らく、雰囲気が変わってきたのは事実であろうが、数字だけ見れば例えば2020年6月29日の新規感染者数(42,200人)、死亡者数(334人)より未だ多いのである。無論、絶対的な数値よりも「現象傾向にあること」が雰囲気を和らげていることは理解する。しかし、前掲した死亡者数のチャートを見れば現在の現象は昨年の4月から6月にかけての現象傾向に類似している、とも言える(昨年4月頃までの新規感染者数のデータはPCR検査数の絶対数が少なかったと想像される--そうでなければ、昨年4月頃の致死率がもの凄く高いことになってしまうから--)。いずれにせよ、前掲のチャートを見る限り、ワクチンが現在の死亡者数に有意に効果があった、とは言い切れないのではないだろうか。

 

しかしながらのこの楽観的雰囲気は一体どこから生まれてくるのか?筆者は発表や報道のあり様にその根源があると考える。

 

ワクチン接種がなされない前の世界では、政府は感染者数や死亡者数を発表していた。メディアはその発表を報道するのだから、厭世的な雰囲気を産んでいたことであろう。一方ワクチン接種が開始された後の世界では、政府は累計ワクチン接種数や接種率を発表している。この「発表・報道内容」の相違が、ワクチン前後の雰囲気の違いを産んでいるのではないだろうか。

 

すなわち、実数としての感染者数や死亡者数はどうでもよくて、発表・報道の方向に人々は左右されているだけのことであろう。ということは、発表の内容さえ変えてあげれば、ワクチン接種の進んでいない日本においても、雰囲気を変えていくことが可能かもしれない。例えば、累積退院者数とか想定集団免疫率とか?

 

正直、今の雰囲気を切り替えない限り、緊急事態(宣言ではなく、雰囲気としての緊急事態)は終わらない。こういう場合にトップに求められるのは、雰囲気の一変ではないだろうか。